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【古典の名作から新刊まで】おすすめ海外文学小説20選(翻訳版)

こんにちは! 


今回は、Twitterのハッシュタグ#名刺代わりの小説10選、で選んだ作品を中心に、大の海外文学好きの私がおすすめする作品を20作ご紹介します!


有名な作品から、ちょっとした変化球までたくさんご紹介していますので、海外文学に興味はあるけれど、何を読めばいいかわからないという方、新しい本に出逢いたいと探している方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。


ご紹介する作品は、すべて日本語翻訳版が出ていますので、英語やフランス語に自信がなくて原著では読めない…という方も安心してお読みいただけます。

 

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1.椿姫(デュマ・フィス)


あらすじ(BOOKデータベースより引用)

パリの社交界で金持ちの貴族を相手に奔放な日々を送る美貌の高級娼婦マルグリット。彼女はある日、青年アルマンと出会う。初めて真実の愛に目覚めた彼女は、これまでの享楽的な生活を捨て、パリ近郊の別荘で二人は暮らし始めるのだが、そこへ訪ねてきたのはアルマンの父だった…。

 



おすすめポイント→普段、あまり小説を読んで泣くことはないのですが、この作品は自然と涙が出てしまった一冊です。古今東西、悲劇の恋愛というものはあると思うのですが、数ある中でも一段違った次元の作品かなと個人的には思っています。


二人の恋は最初から暗雲ばかり立ち込めていますし、途中も、最後も傍から見れば救いがないようにも思えるのですが、それを芸術にまで昇華している著者の力、本物の愛を描き切る力は、感動します。


2.秘密の花園(バーネット)


あらすじ(BOOKデータベースより引用)

インドで両親を亡くしたメアリは、英国ヨークシャーの大きな屋敷に住む叔父に引きとられ、そこで病弱な従兄弟のコリン、動物と話ができるディコンに出会う。3人は長いあいだ誰も足を踏み入れたことのなかった「秘密の庭」を見つけ、その再生に熱中していくのだった。



おすすめポイント→読んだらきっと、花と緑がうつくしいイギリスの庭園を訪れたくなるはず。登場人物も善と悪が割とはっきりしていますので、読んでいる途中も、読後もすっきりとした気持ちになれます。植物が持つ力のすばらしさを教えてくれるすばらしい作品です。花は自分を咲かせるだけでなく、人々の心の雪解けを助け、笑顔を生むのだと。


3.月と六ペンス(モーム)


あらすじ(BOOKデータベースより引用)

新進作家の「私」は、知り合いのストリックランド夫人が催した晩餐会で株式仲買人をしている彼女の夫を紹介される。特別な印象のない人物だったが、ある日突然、女とパリへ出奔したという噂を聞く。夫人の依頼により、海を渡って彼を見つけ出しはしたのだが……。


おすすめポイント→物語のおもしろさ、とはまさにこの作品を表すのだと感じます。不思議な世界観で、現実と幻想が交差したような世界観が広がりますが、読者が惹きつけられるのは、根底に作者の冷静な現実を見る目があるからだと思います。男性はおじけづき、女性はからめとられてしまう、唯一無二の主人公です。


4.ドリアングレイの肖像(ワイルド)


あらすじ(BOOKデータベースより引用)

「若さ! 若さ! 若さをのぞいたらこの世に何が残るというのだ!」美貌の青年ドリアンと彼に魅了される画家バジル。そしてドリアンを自分の色に染めようとする快楽主義者のヘンリー卿。卿に感化され、快楽に耽り堕落していくドリアンは、その肖像画だけが醜く変貌し、本人は美貌と若さを失うことはなかったが……。

 



おすすめポイント→耽美主義な世界に浸りたい方、ぜひこちらをどうぞ!老けない、美しいままでいられる、って願ったことがある人は多いと思うのですが、もう、なんというんでしょう、それの究極形がこちらです。幻想的な世界でありながら、非常に現実的で鋭い視点で描かれているのも特徴の一つです。


5.ベラミ(モーパッサン)

 


あらすじ(BOOKデータベースより引用)

『女の一生』に続くモーパッサンの長篇第二作。ひたすら女から女へとわたり歩き栄達をめざす男のシニカルな行動を描く。

 



おすすめポイント→美しい男性が出てくる小説が好きな皆さん(まぎれもない、私です!)にぜひおすすめしたい一冊。同じイケメンでも、こちらのジョルジュは赤と黒のジュリヤン・ソレルとはまた違ったタイプで、こちらの彼は女性を踏み台にのし上がっていく猛者なので、そういう違いを比べながら読むのも楽しいかもしれません。シャツのボタンに女性の髪の毛が絡まっていて、関係がバレるシーンと、最後の結婚式のシーンがたまりません。


6.ムーンパレス(オースター)


あらすじ(BOOKデータベースより引用)

人類がはじめて月を歩いた夏だった。父を知らず、母とも死別した僕は、唯一の血縁だった伯父を失う。彼は僕と世界を結ぶ絆だった。僕は絶望のあまり、人生を放棄しはじめた。やがて生活費も尽き、餓死寸前のところを友人に救われた。体力が回復すると、僕は奇妙な仕事を見つけた。その依頼を遂行するうちに、偶然にも僕は自らの家系の謎にたどりついた……。

 



おすすめポイント→家族ってなんだろう、絆ってなんだろう、ひいては自分ってなんだろう?と良い意味で自分の中に混乱が起きる、非常に文学性の高い作品です。残酷な現実はいつまでも目の前にあるけれど、それをこんなに美しい文体で描いてしまうのですから、絶望と思えるところにも、救いはあるのかもしれません。


7.悲しみよこんにちは(サガン)


あらすじ(BOOKデータベースより引用)


セシルはもうすぐ18歳。プレイボーイ肌の父レイモン、その恋人エルザと、南仏の海辺の別荘でヴァカンスを過ごすことになる。そこで大学生のシリルとの恋も芽生えるが、父のもうひとりのガールフレンドであるアンヌが合流。父が彼女との再婚に走りはじめたことを察知したセシルは、葛藤の末にある計画を思い立つ……。



おすすめポイント→私はフランス語はよくわからないのですが、邦題タイトルがとても素敵ですよね。娘と父親の関係って本当に難しくておもしろいと思っているのですが、この作品では、その妙が味わえます。親子のあいだには、どれだけ愛しても、他人にはつけ入る隙を与えない、なにかがあるのだと信じています。それがよいにつけ悪いにつけ。


8.女の一生(モーパッサン)


あらすじ(BOOKデータベースより引用)


男爵家の一人娘に生まれ何不自由なく育ったジャンヌ。彼女にとって、人生は夢が次々と実現していくものであるはずだった。しかし、現実はジャンヌを翻弄し続ける。乳母妹だった女中のロザリが妊娠し、その相手が自分の夫であることを知った時、彼女は過酷な現実を生き始めた――。



おすすめポイント→数年前映画にもなっていましたが、主人公ジャンヌに次々と向かい来る困難は、きっと誰の身にも起こりうることで、単なる悲しい物語で終わらせないところに作家のちからを感じます。名シーンが盛りだくさんの作品ですが、私はなんと言っても怒り狂ったフルヴィル伯爵がとったおそろしくも笑ってしまいそうな奇想天外な行動です。


9.高慢と偏見(オースティン)

 


あらすじ(BOOKデータベースより引用)


元気はつらつとした知性をもつエリザベス・ベネットは、大地主で美男子で頭脳抜群のダーシーと知り合うが、その高慢な態度に反感を抱き、やがて美貌の将校ウィッカムに惹かれ、ダーシーへの中傷を信じてしまう。ところが…。



おすすめポイント→イギリスが誇る古典の名手、ジェーンオースティン。彼女の代表作、高慢と偏見は、今から約200年前(初版発行:1813年)とは思えないほど現代でもリアルさを失わない緻密な人間描写がすばらしい物語です。すれ違いや勘違い、他人のおせっかい、本人たちの見栄っ張りや頓珍漢な行動……。これはいつの時代の恋愛にも起こることですね。


10.モンテクリスト伯(デュマ・ペール)


あらすじ(BOOKデータベースより引用)

無実の罪によって投獄された若者ダンテスは、14年間の忍耐と努力ののち脱出に成功、モンテ・クリスト島の宝を手に入れて報恩と復讐の計画を着々進めてゆく。

 



おすすめポイント→日本でもドラマ化されていましたが、超長編ながら、私は一気に読めてしまった作品です。起承転結の妙がここまでかと効いています。読者の期待をうらぎらない面白さと、考えさせられるラストシーンは読後何年たっても忘れることがありません。


11.赤と黒(スタンダール)

 


あらすじ(BOOKデータベースより引用)

 

ナポレオン失脚後のフランス。貧しい家に育った青年ジュリヤン・ソレルは、立身のため僧職に身を投じる。やがて貴族であるレナール家の家庭教師となり、その美貌からレナール夫人に慕われるようになる。ジュリヤンは金持ちへの反発と野心から、夫人を誘惑をするのだが……。

 



おすすめポイント→主人公ジュリヤン・ソレルが何とも耽美的で切ない傑作です。私は最後のシーンが強く印象に残っていて、これも一つの愛の形なんだなあと思っています。先ほどご紹介した『ベラミ』のジョルジュとは違い、繊細で、葛藤を抱えながら立身出世を何とか成し遂げようとする…。現代にも通じるメッセージ性があるのではないかと思っています。


12.出島の千の秋(ミッチェル)

 


あらすじ(BOOKデータベースより引用)


寛政11(1799)年5月9日、若き産婆・藍場川織斗は長崎奉行の愛妾・川蝉の息子を難産の末、無事取りあげる。一方、オランダ商館に赴任した事務員ヤコブ・デズートは、商館長の懐刀として活躍しながら、淡い恋心を織斗に抱く。ペリー来航に先立つ1800年代前後の長崎出島を舞台に、オランダ商館長フォルステンボース、博識かつ公正なる医師マリヌス、新時代を夢見る通詞・緒川宇佐衛門、不知火山の比丘尼坊を支配する峡河藩主・榎本僧正のほか、杉田玄白、前野良沢など、虚実ないまぜののありうべき物語が華麗かつ自在に繰り広げられる。


おすすめポイント→日本の歴史を外国人の目で見る、捉えるということは、大事でありながらなかなかその機会がないのが実際ではないでしょうか。研究はあっても、小説となるとさらにそれは狭まると思います。そこで、この出島の千の秋をおすすめします。
脚色はあるのだろうし、終盤は早送りのような怒涛の展開ですが、ミッチェルが、当時のオランダ人の目で見る日本はどうだったのか、それを描いている点が非常に興味深いと思います。あと、個人的に藍場川織斗と言う名前がとても好きです。


13.大いなる遺産(ディケンズ)

 


あらすじ(BOOKデータベースより引用)

 

優しい鍛冶屋の義兄ジョーに育てられている少年ピップは、あるクリスマス・イヴの晩、脱獄囚の男と出会う。脅されて足枷を切るヤスリを家から盗んで与えた記憶は彼の脳裏に強く残った――。長じたある日、ロンドンからやってきた弁護士から、さる人物の莫大な遺産を相続することを示唆されると、貧しいながらも人間味ある生活を捨て去り、ピップは大都市ロンドンへと旅立つのだった……。

 



おすすめポイント→イギリスが誇る偉大なる作家、ディケンズは様々な作品を残しましたが、私のおすすめはこちらです。貧しかったけれど、突然叔父や叔母がなくなり彼らの莫大な遺産を相続する……誰しもが一度は夢見たことがあるかもしれません。しかし、本作の主人公には数奇な運命が待ち受けています。
人間の弱さやはかなさ、おもしろさや本当の強さなど、ディケンズの鋭い観察眼が味わえる傑作です。


14.ジェーン・エア(C.ブロンテ)

 


あらすじ(BOOKデータベースより引用)

 

孤児として、伯母に育てられたジェーンは、虐待され、ローウッド寄宿学校にいれられる。そこで八年を過した後、広告を出し家庭教師として赴いた先に居たのは子供と家政婦だけだった。散歩の途中助けた人物こそ、屋敷の主人ロチェスターであると知ったジェーンは、彼と名門の貴婦人とのロマンスを聞き、胸が騒ぐ。

 



おすすめポイント→冬やクリスマス時期に読みたくなる一冊。どんな困難にも負けず、頑張る主人公の姿は胸をうたれます。人間の強さとは、本当の愛とは何か。クリスマスに、一年の振り返りも含めてじっくり考えたい作品です。


15.居酒屋(ゾラ)


あらすじ(BOOKデータベースより引用)


洗濯女ジェルヴェーズは、二人の子供と共に、帽子屋ランチエに棄てられ、ブリキ職人クーポーと結婚する。彼女は洗濯屋を開くことを夢見て死にもの狂いで働き、慎ましい幸福を得るが、そこに再びランチエが割り込んでくる……。



おすすめポイント→大きく好き嫌いが分かれそうな作品ですが、私はこの何とも言えない無情さがぐっと心に沁みました。主人公の過酷な運命と、人間関係の難しさ。ちょっとしたことで希望は一瞬にして絶望に変わる。フランスって私はよくわからないのですが、きっとあこがれだけで片づけられない何かがあるのだろうと思っています。もちろん、イギリスも日本も然り。


16.ボヴァリー夫人(フローベール)


あらすじ(BOOKデータベースより引用)


娘時代に恋愛小説を読み耽った美しいエンマは、田舎医者シャルルとの退屈な新婚生活に倦んでいた。やがてエンマは夫の目を盗んで、色男のロドルフや青年書記レオンとの情事にのめりこみ莫大な借金を残して服毒自殺を遂げる。そして――。



おすすめポイント→不倫小説、と一言で片づけられない切なさがあります。私はもちろん不倫はよくないことだと思っていますが、それに至るまでの事情は本当にそれぞれで、当事者にしかわからないことがたくさんあるのだろうなあと思います。


17.ミスターヴァーティゴ(オースター)

あらすじ(BOOKデータベースより引用)

俺はけだもの同然、人間の形をしたゼロだった。師匠に拾われ、誰一人なしえなかったことをやってのけた。各地を巡業し、人々を魅了した…。20年代を背景に“空飛ぶ少年”の飛翔と落下の半生を描く。

 



おすすめポイント→ハードカバーの本の表紙がなんともシュールで大好きな一冊です。物語の内容も不思議ですが、オースターらしい、人間の芯の部分がうまく描かれていると思います。自分は何をやってもだめだ、価値のない人間だ、と気分が落ち込んでしまっているときにも、力をもらえる作品です。


18.アンナ・カレーニナ(トルストイ)


あらすじ(BOOKデータベースより引用)

 

青年将校ヴロンスキーと激しい恋に落ちた美貌の人妻アンナ。だが、夫カレーニンに二人の関係を正直に打ち明けてしまう。一方、地主貴族リョーヴィンのプロポーズを断った公爵令嬢キティは、ヴロンスキーに裏切られたことを知り、傷心のまま保養先のドイツに向かう……。

 



おすすめポイント→ロシアという国や歴史にもっと詳しければ、時代背景なんかも合わせて楽しめたのだろうなあと思った作品です。長い作品で、男女の難しさをひしひしと感じさせます。常に冷静で、頭で正しいと思うことをするのがいいのか、感情に任せるのが結局はいいのか、一歩引いたところから見れば「いやいや当たり前でしょ」と思うことでも、当事者になってしまうとみるべきものが見えなくなってしまったり、変なところに集中してしまったりするんですよねえ。


19.ボートの三人男(ジェローム.K.ジェローム)


あらすじ(BOOKデータベースより引用)

 

ありとあらゆる病気に罹っていると判断した僕は、休養と変化を求めて、友人ハリスとジョージ、そして犬のモンモランシーとともに、ボートに荷物を積み込み(歯ブラシは入れた?)、テムズ河を遡上する旅に出る。景勝地を巡ってゆっくりするはずが、トラブルとハプニングの連続で……。

 



おすすめポイント→何とも言えないシュールさが大好きなこちら。イギリスらしいユーモアというか、静かでシニカルというか。爆笑、という要素はありませんが、なぜだかクセになります。物語冒頭には彼らが旅する地図も出てきますので、イギリスをのんびり想像しながら味わえる素敵な作品です。


20.ヴァレンタインズ(オラフ・オラフソン)


あらすじ(BOOKデータベースより引用)

 

「一月」から「十二月」まで、夫婦や恋人たちの愛と絆にひびが入る瞬間を鋭くとらえた12篇。研ぎ澄まされた感覚、洗練されたユーモアが端正な文章の行間に漂う。アイスランド出身の実力派による、珠玉の第一短篇集。

 



おすすめポイント→古今東西、愛って本当にいろいろな形があって、難しいものなのだなあと感じます。うつくしいものばかりが表に出て語られることが多いですが、実際はすれ違いややりきれなさ、そんなものがたくさん詰まっているのだと思います。

 

以上です。少しでも、新たな海外文学作品と出逢うきっかけとなれば幸いです!


最後までお読みいただき、ありがとうございました!