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Peter James “Looking Good Dead”あらすじ・感想

こんにちは! 

今回は、Peter James(ピーター・ジェイムズ)さんの “Looking Good Dead”という作品をご紹介します。

 

 

 

 

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★著者


ピーター・ジェイムズ
1949年、イギリスのブライトンに生まれました。作家としてだけでなく、脚本家や映画プロデューサーとしても活躍しています。代表シリーズ、警視グレイスシリーズは世界で200万部のベストセラーとなり、26か国語に翻訳されています。


★本の概要


・出版年:2006年
・ページ数:544ページ
・シリーズ:Roy Grace, #2


★あらすじ


トム・ブライスは隣の電車の座席に置き去りにされていたCDを拾い、持ち主に返そうとした数時間後、彼は凶悪な殺人事件の唯一の目撃者となってしまう。そして、彼の家族は、警察に行けば命を狙われることになると脅される。しかし、妻のケリーに支えられ、彼は勇気を持ってロイ・グレース警視が率いる殺人事件捜査チームに証言をする。その瞬間から、ブライス家の殺害は単なる形式的なものではなく、陰惨な様相を帯びていく。ケリーとトムの死はすでにネット上に掲載されてしまっている。”Looking Good Dead”が意味するところとは……。


★感想


著者の代表作でもあるロイ・グレースシリーズの第2作目のこちら。私はこちらを含めまだ4作(1、2、13、15)しか読んだことがないため、シリーズを語れるほどではないのですが、それでもシリーズの醍醐味であると思っている読者を引き込む序盤や物語設定、終盤のスリリングな展開などを今作でも味わうことができました。


私は読める本から読んでいるので、どうしても順番がバラバラになってしまっているのですが、グレースの私生活の面ではやはりシリーズの順番通りに読むのがおすすめかなと思います。一つ一つの事件は独立していますので、どの作品から読んでも楽しめるかと思いますが……。


先ほども書きましたが、この作品は特に序盤が面白いなと思います。ある日電車で他の人が座席に忘れていったCDを家に持ち帰って読み込んでみたら……という、現実にないとは言い切れないことが恐怖心と興味を掻き立てますし、そこからトム(持ち帰ってしまった人)と彼の家族に残酷な出来事が起こってくる……。どうなるんだろう?大丈夫かな?と、どんどん次のページを読みたくなる作品でした。


また、印象に残ったのは、今作大活躍のグレン・ブランソンをはじめとするグレースのチームの刑事たちがフィーチャーされていたところです。一人一人の頑張りや葛藤が見えて、みんないい味していました。


警察小説ですので、ミステリーや謎解き要素は少なめですが、犯人グループをどう追い詰めていくか、さらに次の被害をどう防ぐか、といったスリリングな展開やサスペンス要素を楽しみたい方におすすめです。

 

 


****以下、作品の内容に触れています。ネタバレしたくない方、未読の方はご注意ください******
グレースシリーズの現時点での後半の作品と比べると(とはいえ、私もたくさん読めていないので、偉そうなことは言えませんが……)、ちょっと回収されていない部分があったかなあという印象でした。私の英語力の問題で読めていなかっただけかもしれませんが、あれ?これは結局なぜ起こったの?と思った部分や、結局どうなったの?と思った部分があったり……。


それでも、犯人グループがなぜあそこまでトムや警察の動きを把握していたのか、といった点には終盤の種明かしで合点がいき、すっきりしました。
そして、相変わらずグレースがやっぱりかっこいい!とっさの判断や臨機応変な対応でリーダーシップを発揮する彼はどこまでも素敵です^^