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江戸川乱歩『影男』あらすじ・感想

こんにちは!
今回、江戸川乱歩の『影男』という作品を読みましたので、ご紹介したいと思います。

 

★著者について


江戸川乱歩
1894年三重県生まれで、1923年「二銭銅貨」でデビューしました。優れた推理小説、怪奇小説、幻想小説を多数発表しています。代表的なシリーズは、「怪人二十面相」「少年探偵団」などで、日本の小説界に多大なる業績を残した人物と評されています。1965年に亡くなりました。


★本の概要


・出版年:1988年 
(1955年(昭和30年)1月から12月まで、光文社の『面白倶楽部』に掲載)
・出版元:春陽堂書店
・ページ数:文庫で238ページ
・シリーズ:いわゆる「明智作品」の一つ


★あらすじ


「BOOK」データベースより
影男!その正体は、速水荘吉・綿貫清二・鮎沢賢一郎・殿村啓介・宮野緑郎と無数の名をもつやせた男。さらに小説家としては佐川春泥という名で知られ、その執筆する怪奇異風の小説は世にもてはやされていた。このふしぎな男は何をもくろむのであったか!どんな人間ももっているヒミツの裏側を探求するのが影男の目的であった。影のような人間に変化して。かくて、影男の出現するところ、一軒家の地下室で行なわれる闘人、地底のパノラマ国等々。奇々怪々な事件の連続であった。名探偵・明智小五郎の明推理は。


★感想

まず、読んでみて長編ということに気が付いたとき、わくわくしました!
たくさんの乱歩の小説を読んでいるわけではないのですが、これまで私が読んだ作品は短編が多かったので、これはどんな展開になるんだろう?と思いながら読み進めました。


物語は、どんどんと場面が変わっていったり、たくさんの登場人物が出てきたりと、まるで万華鏡をのぞいているようでした。私がもっと整理しながら読めればよかったのですが、ちょっと混乱する場面もありました。でもそれはきっと、影男という一人の人物が中心でありながら、彼がいくつもの別の名前や職業を持っているからというのも、理由の1つかなあと思いました。

悪知恵と悪知恵の対決、さらに終盤では明智小五郎も登場し、悪人たち対明智の知恵比べになるところも面白かったです。

明智小五郎が出てくる小説は個人的に好きなものが多いのですが(彼の性格も、犯人を追い詰めていく方法も、最後に種明かしする場面も好みのものが多いです!)、この作品は、出てこないと思っていたので、びっくりしました!江戸川乱歩自身は、最初から温めていたアイデアなんですかね……。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!