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Lisa Jewell(リサ・ジュエル)"The Family Upstairs" あらすじ・感想

こんにちは!

今回は、Lisa Jewell(リサ・ジュエル)さんの"The Family Upstairs"という作品をご紹介します。

 

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作品概要
著者について

リサ・ジュエル:

1968年イギリス・ロンドンに生まれました。人気のフィクション作家としての地位を築いています。学校でアートやファッションなどを学んだあと、数年間はファッション業界で働いていました。彼女の小説家としてのデビューにまつわる話はおもしろく、リサは友人からお気に入りのレストランでのディナーと引き換えに3章の小説を書くという課題を受けたそうです。その3つの章が最終的に彼女のデビュー作「Ralph's Party」に発展し、1999年にイギリスでベストセラーとなったそうです。ほかの作家とは一味違ったデビューの道を歩まれたのですね。2008年には、小説『31 Dream Street』でメリッサ・ネイサン賞コメディ・ロマンス賞を受賞しています。現在は夫と二人の娘といっしょにロンドンにお住まいです。

 

本の概要


・ISBN:9781501190100
・出版年:2019年
・出版元:Atria Books
・ジャンル:心理スリラー、一般フィクション
・ページ数:340ページ(ハードカバー)

・舞台:イギリス・ロンドン
・英語の難易度、特徴:植物の名前(学術名)が少しでてきますが、それ以外は特段難解な表現は少なめです。
・テーマ、キーワード:家族、上流階級の没落、コミュニティ
・おすすめする人:イヤミスを読みたい方

 

あらすじ

25歳の誕生日を迎えて間もなく、リビー・ジョーンズは仕事から帰宅すると、ずっと待っていた手紙を見つける。彼女はある思いで手紙を破って開いた。自分が何者なのか、ようやくわかるようになったのだ。

彼女はすぐに彼女の生まれた両親の正体を知るだけでなく、ロンドンのファッショナブルなチェルシー地区にあるテムズ川のほとりにある数百万ドルの価値がある大邸宅の唯一の相続人であることも知ることになる。リビーの人生のすべてが変わろうとしている。しかし、彼女が知ることができないのは、この日を待ち望んでいた人たちが他にもいるということだ。

 

感想

リサ・ジュエルさんの作品は、これまでにも何冊か読んできました。読むたびに毎回思うのですが、本当に彼女は一つ一つの作品で違った顔、違った世界を見せてくれるなぁと。

 

この作品も彼女らしいと言うか、イヤミスの世界が広がっているのですが、また他の作品とは違った、少しねじれてしまった家族、そしてその家族と一緒に暮らして、さらに家族や家全体を壊していったとある人物と言うものが描かれています。本当に圧倒されてしまいました。


まず、あらすじを読んだときには、遺産相続の話なのかな、またはそれによる兄弟のいざこざの話なのかなぁと考えていました。しかし、読み終わったときには全くそれと違った結末が待っていて、本当にびっくりしました。

 

これが自分の生活に近いかと言われると、全くそんなことはなくて、フィクションの、お話の世界というのはわかってるのですが、それでも心にグサっとくるのはやはりそれだけ描写がリアルで強烈なものがあるからだと思いました。最後の最後の展開はやや意外性も感じました。その途中までのかなりダークな状況で最後どうなるんだろうなぁと思いましたが、最後はまぁある意味救いが残っていたので、それはよかったなぁと思いました。

 

キャラクターについては、本当に救いようがない人もたくさんいましたが、現代の視点で語られる部分に登場するリビーの同僚であるDidoですとか、ジャーナリストのミラーが物語の救いになっている部分もあって、彼らの存在は読者にとっても救いになると思いました。ご興味のある方、ぜひ手に取ってみてくださいね。

 

 

一言キャッチフレーズ

彼は、静かに家を蝕んでいった


5段階評価(おすすめ度)


※あくまで私の主観によるものですので、参考程度にお考えください。


★★★★☆(4/5)


最後までお読みいただき、ありがとうございました!