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Lisa Jewell(リサ・ジュエル)"The House We Grew Up In" あらすじ・感想

こんにちは!

今回は、Lisa Jewell(リサ・ジュエル)さんの "The House We Grew Up In" という作品をご紹介します。

 

 

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作品概要
著者について

リサ・ジュエル:

1968年イギリス・ロンドンに生まれました。人気のフィクション作家としての地位を築いています。学校でアートやファッションなどを学んだあと、数年間はファッション業界で働いていました。

彼女の小説家としてのデビューにまつわる話はおもしろく、リサは友人からお気に入りのレストランでのディナーと引き換えに3章の小説を書くという課題を受けたそうです。その3つの章が最終的に彼女のデビュー作「Ralph's Party」に発展し、1999年にイギリスでベストセラーとなったそうです。ほかの作家とは一味違ったデビューの道を歩まれたのですね。

2008年には、小説『31 Dream Street』でメリッサ・ネイサン賞コメディ・ロマンス賞を受賞しています。現在は夫と二人の娘といっしょにロンドンにお住まいです。

 

本の概要


・ISBN:978-0099559559
・出版年:2013
・出版元:Arrow
・ジャンル:心理スリラー、一般フィクション、家庭小説
・ページ数:448ページ(ペーパーバック)
・英語の難易度、特徴:ややボリュームが多い作品ですが、極端に難解な表現は見られません。どちらかというと地の文が多めです。
・テーマ、キーワード:家族、親子関係、生きること
・おすすめする人:壮大な人間ドラマを読みたい方

 

あらすじ

絵に描いたように美しいコッツウォルズの村にある蜂蜜色の家に住んでいるバード一家。現実的なメグ、夢見がちなベス、そしておてんばな双子のローリーとリースは村の学校に通い、毎晩一緒に家庭料理を食べている。彼らの父親はコリンという名の甘ったるい男で、フクロウのような丸メガネをかけていて、まだ10代にしか見えない。母親はローレライという名の美しいヒッピー。そして、彼女は子供たちの人生のすべての瞬間を輝かせている――。

 

感想

すごい小説に出会ってしまいました。読む前にあらすじに目を通したときには想像もしなかったような物語が待っていました。

とある家族――完璧に見えた家族――に襲いかかる出来事の数々。子どもたちは次第に、「彼らが育った家」から離れていきます。

 

この作品は、多くの家族がいかに機能不全に陥っているか、そして簡単にそれに陥ってしまうかを思い知らされる素晴らしい作品でした。

 

イースターが物語の中心となりますので、私を含め馴染みのない方もいらっしゃるかもしれません。そのイースターはローレライとその家族にとって大切な休日でした。しかし、ある年に恐ろしい悲劇が起こり、それがそれぞれを大きく変えてしまいます。彼らがどのように反応したかは様々ですが、物語の中心となるのは、ローレライのため込み問題(日本語でフラットに言ってしまえば、物を捨てられない人、家がゴミ屋敷のようになってしまう人)であり、家族がどのように崩壊し、どのように対処しようとしているかについてでした。

 

終盤でついに死に関係する秘密が暴かれ、人間関係が修復され、癒しが始まっていくところは物語の救いだったと思います。この作品は、壮大な人間関係、家族関係を見せてくれました。自分の家族や親について考えずにはいられない作品です。

 

一言キャッチフレーズ

壮大な家族ドラマが、ここにある


5段階評価(おすすめ度)


※あくまで私の主観によるものですので、参考程度にお考えください。


★★★*☆(3.5/5)


最後までお読みいただき、ありがとうございました!