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Sally Rooney “Normal People” あらすじ・レビュー

こんにちは!イギリス在住読書ブロガーのゆず(@ybook21)です!

今回は、Sally Rooney “Normal People” という作品をご紹介します。


作品概要
著者について

サリー・ルーニー
1991年生まれ、ダブリン在住。トリニティ・カレッジを卒業。彼女の作品はGranta、The Dublin Review、The White Review、The Stinging Fly、Winter Pagesのアンソロジーに掲載されている。

 

本の概要


・ISBN:1984822179
・出版年:2018年
・出版元:Hogarth Press
・ジャンル:一般フィクション

 

あらすじ

学校では、コネルとマリアンヌはお互いを知らないふりをしていた。彼はサッカーチームのスターで、人気者であり順応性がある

。しかし、マリアンヌの家に母親を迎えに行ったとき、2人の間に奇妙で忘れがたいつながりが生まれる。

 

感想

最初のいくつかの章を読み終えて、「村上春樹さんっぽいな」と感じました。サリールーニーさんの本を読むのはこれが初めてなので、もちろん断言はできませんが。普通の物語のようでそうでない、本から感じるつかず離れず(これは今作の主人公たちとも重なる部分でもある)の距離感。

言ってしまえば若い男女がくっついたり離れたり、とえてしてチープになりがちなストーリーを、ここまで文学性を高く保って完結させている点がすごいと思いました。そして、その文学性を高めているのは主に2つだと感じました。文体が美しいとか、言葉遣いのセンスなどではないのですが、1つめが時間の流れ。基本的に次の章では前の章で書かれた数か月後、というのが多いのですが、これがまた読者に色々と想像させて面白い。2つめは、会話の書き方。普通「」(洋書なので””とか’’)で書かれることが多いけれど、この作品は例えば I love you, she said のようにかっこを使わずに表現されます。ここが流れるような感覚を読者に与えるし、ある意味現代的であるとも感じさせます。

作中、心身への暴力ととれる場面が出てきます。苦手な方はご注意ください。

 

5段階評価(おすすめ度)


※あくまで私の主観によるものですので、参考程度にお考えください。


★★★☆☆(3/5)


最後までお読みいただき、ありがとうございました!