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朝井リョウ『何様』あらすじ・レビュー

こんにちは!イギリス在住読書ブロガーのゆず(@ybook21)です!

今回は朝井リョウさんの『何様』という作品をご紹介します。

 

本の概要

・ISBN:978-4-10-126932-0
・出版元:新潮社
・ジャンル:一般フィクション

 

あらすじ

生きるとは、何者かになったつもりの自分に裏切られ続けることだ。直木賞受賞作『何者』に潜む謎がいま明かされる―。光太郎の初恋の相手とは誰なのか。理香と隆良の出会いは。社会人になったサワ先輩。烏丸ギンジの現在。瑞月の父親に起こった出来事。拓人とともにネット通販会社の面接を受けた学生のその後。就活の先にある人生の発見と考察を描く6編! 

新潮社HPより引用)

 

感想

素晴らしい作品でした。朝井リョウさんの作品はこれまでにも何作か読んできましたが、この作品も、とても良かったです。

 

心のなかにすーっと入ってくる。「わかる、わかるこの気持ち」と思えるシーンがいくつもありました。こういう人間でもいいんだ。頑張っているし、頑張れなくてもいい。

 

一瞬だけ「本物」の瞬間があることでもいい。朝井リョウさんの作品には包容力があり、こぼれおちてしまいそうな人、状況を優しく受け止めてくれるような感覚があります(あえて、「すくいあげる」とは言いません)。

 

どれも素晴らしいですが、私が特に好きだったのは「それでは二人組を作ってください」です。自分は子供のころなんとか「二人組」を作れていたけれど、先生のその一言(もしくは「グループを作って」)というのはいつも緊張したし、二人組が作れて安心したり、それでもあまってしまう子をどのように見ればいいのかわからなかったり。

 

近くにいそうな人、を描いているのに、「自分」とどこか同じ匂いを感じる。個人的には、朝井リョウさんの作品の魅力はそこにあるのかなと思っています。

 

5段階評価(おすすめ度)

※あくまで私の主観によるものですので、参考程度にお考えください。

 

★★★★★(5/5)

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!