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朝井リョウ『ままならないから私とあなた』あらすじ・レビュー

こんにちは!イギリス在住読書ブロガーのゆず(@ybook21)です!

今回は、朝井リョウさんの『ままならないから私とあなた』という作品をご紹介します。

 

本の概要

・ISBN: 978-4163904344
・出版年:2016年
・出版元:文藝春秋
・ジャンル:一般フィクション
・ページ数:252ページ

あらすじ

先輩の結婚式で見かけた新婦友人の女性のことが気になっていた雄太。
しかしその後、偶然再会した彼女は、まったく別のプロフィールを名乗っていた。
不可解に思い、問い詰める雄太に彼女は、
結婚式には「レンタル友達」として出席していたことを明かす。 「レンタル世界」

 

成長するに従って、無駄なことを次々と切り捨ててく薫。
無駄なものにこそ、人のあたたかみが宿ると考える雪子。
幼いときから仲良しだった二人の価値観は、徐々に離れていき、
そして決定的に対立する瞬間が訪れる。 「ままならないから私とあなた」

 

正しいと思われていることは、本当に正しいのか。
読者の価値観を心地よく揺さぶる二篇。

(Amazonより引用)

 

感想

1つの短編と、1つの中編からなる本でした。個人的には1つめの「レンタル世界」の方が好みでした。「レンタル○○」というのは結構普及していますよね。この作品の主人公のように、私も心のどこかで「でもそれって……」と思うこともあるのですが、でも主人公ほど「何でも話せる本当の人」がいるとも思えず、レンタル側に立つ人の気持ちや理論も納得できました。

 

レンタルをする人の事情を何も考えずに、「本当の関係じゃない」というのは簡単ですが、それで救われる1日や、1時間や、1秒があるかもしれない。それなら、それでいいんじゃないかとも思います。

 

2つめの作品も、「効率的なもの」と「効率は良くないもの」の、どちらがいいとも言えないですよね。確かに「本物」や「本当に大事なもの」みたいなものが良いと言いつつ、ちゃっかり自分も技術の発展を何食わぬ顔で享受していたりする。その自己矛盾に気づけるかどうか、また気づいたときの衝撃があるのだと思いました。

 

5段階評価(おすすめ度)

※あくまで私の主観によるものですので、参考程度にお考えください。

 

★★★★☆(4/5)

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!