雲川ゆずの本棚

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【古典の名作から新刊まで】海外ミステリ翻訳作品おすすめ15作

こんにちは!


今回は、日本語に翻訳されている海外ミステリ作品の中から、わたしがおすすめする15冊をご紹介します。古典の名作から、最近出版された新刊まで、幅広く選んでみましたので、楽しんでいただけたら嬉しいです!


※なお、わたしの大好きなアガサクリスティー作品は別の記事で単独でご紹介したいと思っておりますので、こちらには入っておりません。

 

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1.カササギ殺人事件(アンソニー・ホロヴィッツ)


あらすじ


1955年7月、サマセット州にあるパイ屋敷の家政婦の葬儀が、しめやかに執りおこなわれた。鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた彼女は、掃除機のコードに足を引っかけて転落したのか、あるいは……。その死は、小さな村の人間関係に少しずつひびを入れていく。燃やされた肖像画、屋敷への空巣、謎の訪問者、そして第二の無惨な死。病を得て、余命幾許もない名探偵アティカス・ピュントの推理は――。


おすすめポイント
→私は初めに洋書で読みましたが、英国ミステリ黄金時代への深い敬意が感じられ、特にアガサクリスティーへの最高のオマージュだと思っています。本の中の本、ミステリの中のミステリ、という構造で、いくつものプロットが複雑に絡み合いますが、そのぶん、最後に伏線がすべて回収されていく瞬間はとても気持ちがいいです。


2.毒入りチョコレート事件(アントニー・バークリー)


あらすじ


ロジャー・シェリンガムが創設した「犯罪研究会」の面々は、迷宮入り寸前の難事件に挑むことになった。被害者は、新製品という触れ込みのチョコレートを試食した夫妻。チョコレートには毒物が仕込まれており、夫は一命を取り留めたが、夫人は死亡する。だが、そのチョコレートは夫妻ではなく他人へ送られたものだった。会員たちは独自に調査を重ね、自慢の頭脳を駆使した推理を、一晩ずつ披露する――。


おすすめポイント
→バレンタインデーに読みたい一冊です。甘いチョコレートには毒が含まれていた……。ミステリ好きの読者の頭のなかを再現するように、推理好きの登場人物たちが自らの考えを順番に披露していきますが、その矛盾を突っつき合ったり、意見を交わしたりする様子は、読んでいてとても楽しいです。最後にもバークリーらしさがしっかりと表れています。


3.オックスフォード運河の殺人(コリン・デクスター)


あらすじ


モース主任警部は不摂生がたたって入院生活を余儀なくされることになった。気晴らしに、彼はヴィクトリア朝時代の殺人事件を扱った研究書『オックスフォード運河の殺人』を手に取った。19世紀に一人旅の女性を殺した罪で二人の船員が死刑となったと書かれていたが、読み進むうちモースの頭にいくつもの疑問が浮かび……。


おすすめポイント
→恐らく現実でも、こういう風に処理されかけてしまう事件って後を絶たないんだろうなあと。今はSNSも発達し、出来事が瞬時に全世界へ拡散され、善か悪かの判断が瞬く間にされてしまう。その危険性に通ずるところもあるのではないかなあと思います。


4.そして医師も死す(D.M.ディヴァイン)


あらすじ


共同経営者ハクストンの死は、他殺だった。若き医師アランは、名士の仮面に隠さたハクストンの秘密に近づくうちに第一容疑者と目され……。


おすすめポイント
→アガサ・クリスティーが絶賛したと言われるディヴァイン作品から、こちらを選んでみました。完全犯罪に見えるけれど、そこには驚きの事実が隠されている……。何かひとつでも引っかかることがあったときに、それをどこまで突き詰められるか、そこに事件解決のカギがあるのだと改めて。


5.フロスト日和(R・D・ウィングフィールド)


あらすじ


肌寒い秋の季節。デントンの町では、連続婦女暴行魔が跳梁し、公衆便所には浮浪者の死体が転がる。なに、これはまだ序の口で……。


おすすめポイント
→小説に出てくる警察官は正義感たっぷりでかっこよくて、強くて……そんなイメージを全てひっくり返す愛されフロストの作品から、こちらを選びました。下品なこともたくさん言いますし、どうしようもないな~と思うこともありますが、なぜだか憎めないフロストの魅力に、きっとハマってしまうはずです。


6.ウィッチフォード殺人事件(アントニー・バークリー)


あらすじ


ロンドン近郊の町ウィッチフォードで発生した毒殺事件に興味をもったシェリンガムは、早速現地へ乗り込んだ。事件はフランス出身のベントリー夫人が、実業家の夫を砒素で毒殺した容疑で告発されたもので、状況証拠は圧倒的、有罪は間違いないとのことだったが、これに疑問を感じたシェリンガムは、友人アレック、お転婆娘のシーラと共にアマチュア探偵団を結成して捜査に着手する。


おすすめポイント
→バークリーらしさというか、皮肉やシニカルなユーモアのエッセンスがたっぷり詰まった作品です。シェリンガムシリーズのひとつ。バークリーの毒への興味と知識は目を見張るものがあります……。

 

7.ピカデリーの殺人(アントニー・バークリー)


あらすじ


伯母と犯罪学と切手蒐集から成る人生に安住していたチタウィック氏が、たまさか訪れた午後のホテルで毒殺の現場に遭遇する。なんとも伯母さんというほかない被害者、そして、同じ卓を囲み怪しい振舞を見せたその甥っ子。皮肉な成行きに嘆息しながらも氏は訴追側の証人として渦中の人となる。


おすすめポイント
→普段は事件の謎も犯人も全然わからず、「そうだったのか~!」と驚くことが多いのですが、この作品は珍しく犯人とその方法がわかった私にとって印象深い作品です(笑)事件が起こり、関係者に話を聞き、推理する……ミステリの基本構造を取っており、読みやすい作品です。


8.殺意(フランシス・アイルズ)


あらすじ

イギリスの田舎町の開業医ビグリー博士は妻のジュリアを殺そうと決意し、周到な計画のもとに犯行へと移った。完璧を誇る殺害計画、犯行過程の克明な描写、捜査の警官との応酬、完全犯罪を目前に展開される法廷での一喜一憂、そして意外な結末は殺人者の心理を描いて余すところがない。


おすすめポイント
→倒叙推理小説の三大名作の一つとして有名な一冊です。私ははじめ、「最初に犯人がわかる推理小説なんて面白いのかな?」と思っていたのですが、この作品を読んで倒叙の奥深さを知りました。最後の最後まで読者の予想の上をいくプロットです。


9.伯母殺人事件(リチャード・ハル)


あらすじ


アイルズの『殺意』クロフツの『クロイドン発12時30分』と並ぶ、倒叙推理小説三大名作の一つである。遺産を狙って、伯母を殺そうとたくらむ男がこころみるプロバビリティの犯罪! 一度二度三度、彼の計画の前に伯母の命は風前の灯となる……しかし、がぜん後半に至って話は意外な展開を示す。


おすすめポイント
→タイトルが秀逸だなあ~と読者をうならせる作品です。誰かを強く憎むとき、その相手のことを常に考えているつもりでも、きっとそのほとんどの時間は自分のことに意識がいってしまっているのだろうと思います。終盤は背筋の凍るような人間の怖さを味わうことができます。


10.Xの悲劇(エラリー・クイーン)


あらすじ

 

結婚披露を終えたばかりの株式仲買人が満員電車の中で死亡。ポケットにはニコチンの塗られた無数の針が刺さったコルク玉が入っていた。第二、第三と続く殺人に、元シェイクスピア俳優の名探偵が挑む。

 

 


おすすめポイント
→最後の種明かし・謎解きが行われる前にじっくり振り返っていろいろな選択肢を考えてみましたが、わかりそうでわからずじまいでした。でも事件の真相を知って納得してしまいます。起きた事件の状況と、与えられたすべてのヒント……。頭を使って論理的に考えたい方におすすめです。


11.Yの悲劇(エラリー・クイーン)


あらすじ


大富豪ヨーク・ハッターの死体が港で発見される。毒物による自殺だと考えられたが、その後、異形のハッター一族に信じられない惨劇がふりかかる。


おすすめポイント
→推理小説の教科書のような、しっかりとしたプロットと意外性のある結末や犯人……。すべての伏線は最後に回収され、見事な作品となっています。


12.荊の城(サラ・ウォーターズ)

 


あらすじ


19世紀半ばのロンドン。17歳になる孤児スウは、故買屋の一家とともに暮らしていた。そんな彼女に顔見知りの詐欺師がある計画を持ちかける。とある令嬢をたぶらかして結婚し、その財産をそっくり奪い取ろうというのだ。スウの役割は令嬢の新しい侍女。スウはためらいながらも、話にのることにするのだが……。


おすすめポイント
→一風変わったミステリ作品をお探し、お好みの方におすすめのこちら。人間の思惑と駆け引き。ページをめくったその瞬間から、最後まで物語の世界に強く引き込まれます。ジェットコースターのような展開で、一気に読めてしまうこと間違いなしです。


13.ハリークバート事件(ジョエル・ディケール)


あらすじ


デビュー作でベストセラー作家となったマーカス・ゴールドマンは、第二作の執筆に行き詰まっていた。大学の恩師で国民的作家のハリー・クバートに悩みを打ち明け助言を求めていたが、その師が、33年前に失踪した美少女ノラの殺害容疑で逮捕されてしまう。庭からノラの白骨死体が発見されたのだ! 恩師の無実を信じるマーカスは、事件について調査し、一冊の本にまとめ上げるが……。


おすすめポイント
→どんでん返し、というか、人間が無意識に”常識”を使って判断してしまう物事には、当事者しかわからないことがたくさんあると気づかせてくれる作品です。そしてその”常識”や”思い込み”の恐ろしさも。上下巻で長い作品ですが、じっくり1つの世界に浸ってみたい方に。


14.時の娘(ジョセフィン・テイ)


あらすじ


英国史上最も悪名高い王、リチャード三世 — — 彼は本当に残虐非道を尽した悪人だったのか? 退屈な入院生活を送るグラント警部はつれづれなるままに歴史書をひもとき、純粋に文献のみからリチャード王の素顔を推理する。


おすすめポイント
→歴史が好きな方、イギリスに興味がある方に。主人公はベッドの上で考えていきますが、これって結構読書そのものの楽しみでもあるよなあと自分自身を振り返って。歴史はつくられるもの、とよく言いますが、事実にできるだけ近づこうとする試みができるのも、後世のまたひとつの楽しみでもあるのかなと。


15.シャーロック・ホームズ 絹の家(アンソニー・ホロヴィッツ)


あらすじ

 

時代は一八九〇年(ホームズとモリアーティ教授との「最後の事件」が発生する前年)。ホームズのもとに相談に訪れた美術商の男エドマンド・カーステアーズは、アメリカの豪商との取引の際にボストンのギャング団とトラブルになり、それ以来、イギリスへ逃げ帰った後も不審な男の影に怯えていると語る。ホームズは例のごとく、浮浪少年の集団「ベイカー街別働隊(イレギュラーズ)」に手伝いを頼み、見張りを依頼するが……その中の一人が惨殺死体となって発見されてしまう。手がかりは、死体の手首に巻き付けられた絹のリボンと、捜査するうちに浮上する「絹の家(ハウス・オブ・シルク)」という言葉だった……その後に続く予想外の展開、悲劇、謎、警告、そしてホームズを襲う未曾有の運命。


ワトスンが残した、かつて誰も知らなかった新たなるホームズの活躍と、戦慄の事件のショッキングな真相とは?

 


おすすめポイント
→最初にご紹介したアンソニーホロヴィッツさんの他の作品です。タイトルの『絹の家』が一体何を表すのか、物語のカギとなっていきます。ミステリであり、社会の大きな闇・問題をエンターテイメントの形でしっかり描いている作品であるとも。

 

 

以上です!

いかがでしたでしょうか?それぞれに良さがあり、どれも素晴らしい作品ですので、ぜひ読んでみてください!

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!