雲川ゆずの本棚

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Emily Koch "Keep Him Close" あらすじ・レビュー【洋書心理スリラー・ミステリ】

こんにちは!イギリス在住読書ブロガーのゆず(@ybook21)です!

今回は、Emily Kochさんの "Keep Him Close" という作品をご紹介します。

 

作品概要
著者について

エミリー・コッチ

受賞歴のある作家で、夫と娘たちとともに英国ブリストルに在住している。犯罪作家協会イアン・フレミング・スチール・ダガー賞最終候補、オーサーズ・クラブ最優秀処女作賞ロングリスト、ウォーターストーンズ・スリラー・オブ・ザ・マンスに選出されている。また、『If I Die Before I Wake』のフランス語訳は、2021年に創設された犯罪小説賞、Prix du Bureau des Lecteursを受賞している。

 

本の概要

・ISBN:9781473561397
・出版年:2020年
・出版元:Vintage Digital
・ジャンル:心理スリラー・ミステリ
・ページ数:320ページ

あらすじ

一人の息子は嘘をつき、一人の息子が死んだ。

アリスの息子は死んだ。インディゴの息子は殺人の容疑をかけられている。

 

インディゴは愛する息子・ケインが無実であることを証明しようと決意する。証拠を探していた彼女は、見知らぬ人物に助けられるが、その人にはある思惑があった。

 

アリスは自分が何者なのか、インディゴに打ち明けることができない。そして、インディゴがケインを解放しようとすることで、残された家族が危険にさらされないようにしなければならない。しかし、インディゴが自分の正体を知るのに、どれだけの時間がかかるのだろうか?

 

母親ほど息子のことをわかっている人はいない。しかし、アリスもインディゴも、息子たちや、運命的な夜に彼らの間に起こったことについて、すべての真実を知っているわけではなかった。

 

感想

この作家さんの作品は初めて読みました。最初から読者を引き付ける不穏な空気があり、テンポの良い展開も読みやすかったです。

 

シングルマザーの母親が2人出てきますが、彼女たちの苦しみ、葛藤、努力もひしひしと伝わってきました。彼女たちが息子たちの事件の真相を知るために奔走する姿は、怠惰な警察や司法組織との見事な対比になっていました。

 

特に最初の章が面白かっただけに、もう少しその不穏さが続いたり、物語の中心になったら嬉しかったですが、緊張感の続く展開はとても満足できるものでした。

 

5段階評価(おすすめ度)

※あくまで私の主観によるものですので、参考程度にお考えください。

 

★★★★☆(4/5)

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

Ann Cleeves "The Glass Room (Vera Stanhope #5)" あらすじ・レビュー【洋書ミステリ・警察小説】

こんにちは!イギリス在住読書ブロガーのゆず(@ybook21)です!

今回は、Ann Cleevesさんの"The Glass Room (Vera Stanhope #5)"という作品をご紹介します。

 

作品概要
著者について

アン・クリーブス
ヴェラ・スタンホープ警部補シリーズは、ノーサンバーランドを舞台に、彼女のパートナー、ジョー・アッシュワースとともに、愛される刑事が登場。アンのシェットランド・シリーズでは、ジミー・ペレス警部補が、神秘的で暗く美しいシェットランド諸島で捜査を行っている。

 

本の概要

・ISBN:9780230745827
・出版年:2012年
・出版元:Macmillan
・ジャンル:警察小説、ミステリ
・ページ数:373ページ
・シリーズ:Vera Stanhope #5

 

あらすじ

ヴェラ・スタンホープ警部補は簡単に友達を作ることができないが、ヒッピーの隣人たちは彼女に自家製のビールと会話を提供し続けているため、彼らに対しては人一倍寛容である。

 

そのうちの1人が行方不明になったとき、彼女は何が起こったのかを突き止める義務があると感じた。しかし、彼女が見つけたのは、単に行方不明の友人だけではなかった。

 

感想

Veraシリーズはこれまで何作か読んできましたが、この作品は中でもややドラマチックな印象を受けました。もちろん、アンクリーブスさんの丁寧で地に足のついた物語展開はそのままですが、エンタメ性も加わってとても面白かったです。

 

作家や作家になりたい人、講座のチューター、編集者など、本や文章を書くことに関わる人の物語です。作家というと、クリエイティブな仕事であり、個々が一人で自分の能力を発揮していくイメージがありますが、成功するのは本当に大変で、一握りだということを改めて思い知らされました。

 

アガサクリスティーのようなフーダニットの面白さも強く、最後まで誰が犯人なんだろう?と想像する楽しみがありました。おすすめです。

 

5段階評価(おすすめ度)

※あくまで私の主観によるものですので、参考程度にお考えください。

 

★★★★★(5/5)

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

Simone St. James "The Book of Cold Cases" あらすじ・レビュー【洋書】

こんにちは!イギリス在住読書ブロガーのゆず(@ybook21)です!

今回は、Simone St. Jamesさんの "The Book of Cold Cases" という作品をご紹介します。

 

ちなみに、この作品は、大手書評サイト「goodreads」の「Goodreads Best Books of 2022」においてミステリ部門ノミネートされました。受賞作やほかのノミネート作品についてはこちらの記事をご覧ください↓

ybook.hatenablog.com

 

作品概要
著者について

シモーヌ・セント・ジェームズ
USAトゥデイ紙とニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー作家です。高校生のときに、幽霊が出る図書館を題材にした最初のゴーストストーリーを書き、20年間テレビ業界で裏方として働いた後、フルタイムで執筆活動を行うようになりました。現在はカナダのトロント郊外に住んでいます。

 

本の概要

・ISBN:9780440000211
・出版年:2022年
・出版元:Berkley
・ジャンル:ミステリ、心理スリラー
・ページ数:352ページ

 

あらすじ

1977年、オレゴン州クレア・レイクは「レディ・キラー殺人事件」に震撼させられた。2人が無差別に同じ銃で殺され、奇妙なメモが残されていたのだ。ベス・グリアは完璧な容疑者だった。裕福で風変わりな23歳の女性で、ある事件から逃げているところを目撃されていた。しかし彼女は無罪となり、屋敷の中に引きこもっていた。

 

2017年、オレゴン州。シア・コリンズは受付嬢だが、夜は実録犯罪サイト「ブック・オブ・コールドケース」を運営している。幼いころに逃れた誘拐未遂事件が、その情熱に火をつけたのだ。偶然出会ったベスに、彼女はインタビューを申し込むが、驚くことにベスは快諾してくれた。

 

2人はベスの屋敷で定期的に会うが、シアはベスの屋敷に馴染めず、目を離した隙に物が動いたり、窓の外に少女を見たりする。2人が親しくなるにつれ、シアは何かがおかしいと感じるようになる。彼女は人を操る殺人犯と友達になったのか?

 

感想

シモーヌ・セント・ジェームズさんの作品は、話題になった『The Sun Down Motel』(以下に私のレビュー記事を載せておきます)を読んだことがあり、面白かったので、今作も楽しみにしていました。

 

この2作に、過去の事件、かつ幽霊(?)超常現象(?)が出てくるという共通点はあったものの、舞台となる場所がモーテルとお屋敷という全く違う場所だったのでまた違った世界観を楽しむことができました。

 

色々なテーマや問題提起が含まれていると思いましたが、個人的には「罪を犯す人は、生まれながらにしてその資質があるのか、もしくはみんなその性質があるが、何かのきっかけで発露する・しないにわかれるのか、はたまたそんな性質はまったくなく、人生の中で作られていくものなのか」ということが問われているかと感じました。

 

ybook.hatenablog.com

 

5段階評価(おすすめ度)

※あくまで私の主観によるものですので、参考程度にお考えください。

 

★★★★☆(4/5)

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!