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Soren Sveistrup "The Chestnut Man" あらすじ・感想

こんにちは!

今回は、Soren Sveistrup "The Chestnut Man" という作品をご紹介します。

 

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作品概要
著者について

セーアン・スヴァイストロプ

セーアン・スヴァイストロプは、様々な国際的な賞を受賞し、100カ国以上で販売されたデンマークのテレビドラマ「The Killing」の脚本家として、国際的に高く評価されています。

彼はコペンハーゲン大学で文学と歴史の修士号を取得し、デンマーク映画学校で学びました。エミー賞やBAFTAなど、数々の賞を受賞しています。

 

本の概要


・ISBN-10 ‏ : 0241372100
・ISBN-13 ‏ : 978-0241372104
・出版年:2019年1月10日(英国でのハードカバーの出版)(初版は2018年6月6日)
・出版元:Michael Joseph 
・ジャンル:ミステリ、スリラー、サスペンス、ハードボイルド
・ページ数:512ページ(ハードカバー)
・英語の難易度、特徴:デンマークの人物名がはじめは慣れないかもしれません。警察の捜査が中心となりますので、警察用語が出てきます。
・テーマ、キーワード:警察小説、連続犯行
・おすすめする人:北欧のダークなミステリを読みたい方

 

あらすじ

10月のある荒涼とした朝、コペンハーゲンの静かな郊外で、警察は恐ろしい発見をする。若い女性が片手を失った状態で惨殺されていたのだ。彼女の頭上には栗でできた小さな人形(チェストナットマン)が吊るされていた。

野心的な若い刑事ナイア・トゥリンがこの事件を担当することになった。相棒のマーク・ヘスは、欧州警察から追い出されたばかりの燃え尽き症候群の捜査官。彼らはすぐに、チェストナットマンの謎の証拠を発見する。それは、1年前に行方不明になり、死んだと思われている少女(政治家ローザ・ハートゥングの娘)につながる証拠だった。しかし、彼女の殺害を告白した男はすでに獄中にあり、事件はとっくに解決していた。

その直後、2人目の女性がチェストナットマンと一緒に殺されているのが見つかる。トゥリンとヘスは、ハートゥング事件と殺害された女性との間に関連性があると疑う。しかし、それは一体何なのか?

トゥリンとヘスは時間との戦いを強いられる。なぜなら、犯人がまだ終わっていないミッションを遂行しているのは明らかだからである……。

 

感想

世界で話題になっていた作品を読むことができました。初めは、慣れないデンマークの人の名前を覚えるのが大変でしたが、すぐに物語の面白さにはまっていきました。

登場人物の中では、ヘスが一番好きでした。組織の中ではちょっとうまくいかないタイプかなと思いますが、ナイアとの絆が徐々に深まっていく様子は、残酷な物語において一つの温かな灯だったような気がします。

北欧というと、高福祉社会で幸せな国、というイメージがありますが、もちろん社会問題はあるんですよね。他の国と同じように。子どもが直面する問題、移民や難民の問題など。

ピータージェイムズさんのロイグレースシリーズを読んでいることもあり、私は警察ものが大好きなのですが、この本も素晴らしい作品でした。緻密な警察捜査、科学捜査。謎が多い事件と垣間見える社会の闇。犯人も意外でした。

やや生々しい表現や血なまぐさい表現が出てきますので、苦手な方は少し気をつけた方がよいかもしれません。

また、コペンハーゲンの暗く、雨が多く、じめじめした寒い気候が連続殺人の舞台となっており、とても雰囲気があります。物語は30年前、ある農家の家族が惨殺され、放浪する家畜の苦情を調査するために農場に立ち寄った引退間近の刑事も殺害されるところから始まるのですが、終盤でこの事件と現在の事件のつながりが見えたとき、寒気を感じました。

 

一言キャッチフレーズ

社会の闇は、犯人の心に潜む


5段階評価(おすすめ度)


※あくまで私の主観によるものですので、参考程度にお考えください。


★★★★★(5/5)


最後までお読みいただき、ありがとうございました!