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山本周五郎 『青べか物語』 あらすじ・感想


こんにちは!

今回は、山本周五郎さんの 『青べか物語』という作品をご紹介します。

 

 

 

作品概要


著者について

山本周五郎

1903年山梨県に生まれました。1926年に文壇デビューをしました。1943年には、直木賞に推薦されましたが、受賞を辞退しました。作風は時代小説、特に市井に生きる庶民や名も無き流れ者を描いた作品で本領を発揮しました。彼の小説に登場する人物に、生きる上でのヒントとなる、含蓄のある台詞を言わせる、というのも彼の作風です。他の作家では、トルストイやサローヤンを好んで読んでいたそうです。1967年に亡くなりました。

 

本の概要

・ISBN:978-4-10-113484-0
・出版年:1964年
・出版元:新潮文庫
・ジャンル:時代小説、歴史フィクション
・ページ数:352ページ(文庫)
・テーマ、キーワード:昭和初期、浦安、人間模様、港町、漁師町、人間観察
・おすすめする人:時代小説がお好きな方、古き良き人情を味わいたい方

 

あらすじ

新潮文庫ホームページより引用

根戸川の下流にある浦粕という漁師町を訪れた私は、沖の百万坪と呼ばれる風景が気に入り、このうらぶれた町に住み着く。言葉巧みにボロ舟「青べか」を買わされ、やがて“蒸気河岸の先生”と呼ばれ、親しまれる。貧しく素朴だが、常識外れの狡猾さと愉快さを併せ持つ人々。その豊かな日々を、巧妙な筆致で描く自伝的小説の傑作。

 

感想

山本周五郎の代表作といわれるこちら。まさに傑作でした。舞台は"浦粕"と呼ばれる漁師町で、昭和初期の浦安をモデルにしたそうです。人間模様を描いた連作短編集で、おおらかな庶民の人間関係を鮮やかに描いていました。

 

いまを生きる私が、理解できるとか、共感できる、とは簡単に言えない世界があり、それでも、それが鋭い観察者のような筆者の視点で描かれることにより、リアルさ、人間の生々しさ、本来の姿などを見せられている気がしました。過去にもどることはできないからこそ、こういった作品は大きな価値があるのだと感じます。

 

変化の激しいいまの時代だからこそ、淡々と、日々を生きていくこととは何か?男女や年齢関係なく、したたかさやたくましさとは何か?といったことを問いかけているような気がしました。

 

ただそこに生きている人々の生活やそのあいだで起きた出来事を記す、という記録にも近い作品ですが、だからこそ、人間の侘しさや嬉しさ、みにくさ、があり、浦粕の姿を立体的なものにしていると思いました。

 

そして当時の方言(なまり?)も意外でした。初め、浦安がモデルということを知らなかったので、どこだろうと思っていたのですが、こういった記載も、いまでは非常に貴重なものですよね。あらためて、作者に敬意を感じずにはいられません。

 

 

一言キャッチフレーズ

人情味あふれる漁師町の情景


5段階評価(おすすめ度)

※あくまで私の主観によるものですので、参考程度にお考えください。


★★★★☆(4/5)

 

人間模様がよかったです。味がある、セピア色のものがたり。共感できる、とは言えないものもあったけれど(特に男女の関係など)、だからこそいまに残っている大きな意味があるのだと思いました。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!