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R. Austin Freeman “The Mystery of 31 New Inn”あらすじ・感想

こんにちは!

今回は、R. Austin Freeman(オースティン・フリーマン)さんの “The Mystery of 31 New Inn”についてご紹介します。

 

 

 

著者について

R. オースティン・フリーマン
探偵小説家であり、彼の生み出したキャラクター、ジョン・ソーンダイク博士で最もよく知られています。緻密で慎重であり、探偵小説の分野では傑出した医学の権威であるフリーマンは、読者の知恵を試すだけでなく、現代の探偵小説の法医学的手法の多くにインスピレーションを与えた。彼は人生の多くを、ロンドンのミドルセックス病院で医師と外科医として過ごしました。エドワード朝の探偵小説家として最も有名な彼は、探偵小説を「スリラー」の世界から分離させ、より目の肥えた読者に受け入れられるようにしました。


本の概要

・出版年:初版1912年
・ジャンル:ミステリ
・ページ数:358ページ(Kindle)、248ページ(ペーパーバック)


あらすじ

ジョン・ソーンダイクとジャービス博士が協力して、割れたガラス、逆さまの絵、ベールに包まれた謎の女性、ロウソクの入った箱など、手がかりの迷宮を解くまで、争われていた複数の遺書と男の異常な病気には何の関連性もなかった。この不思議は、帰納的推論と科学的方法を慎重に使用して解決されることになる――。


感想


ソーンダイク博士が出てくる作品はこれまでにいくつか読んだことがあったのですが(短編ばかり)、この作品も面白かったです!久しぶりだったのですが、すべてがきっちりしていて、いいなあと。


物語の構成ももちろんなのですが、私が特にフリーマン作品を好きな理由は、英語がとにかくきれいなところです。現代的なスラングが使われておらず(この作品が書かれた当時、人々はどんな英語を話していたのでしょうね)、かっちりした印象を受けます。
また、物語の中身の重要なポイントになる科学捜査、法医学的知見、の描写の緻密さとわかりやすさもいいなと思っています。もちろん現代の警察の最先端の科学捜査を知るのも面白いですが、この時代の”自分の手でやってみる”という姿勢も真摯でいいなあと思います。


この真摯さですが、フリーマン自体もそうなのかなと思いました。調べたところによると、実際に友人と一緒に科学実験をして、それを見て読者の目線で物語を書いているから、読んでいて難しさをそれほど感じさせないのだ、と。作家として素晴らしい姿勢だなと思います。

また、科学捜査ではありませんが、物語の中でジャービスがソーンダイクから離れて行動しなければならない場面がいくつかでてくるのですが、その連携も、今のようにスマートフォンがなくても、知恵を使えばなんとかなる、というのも印象に残りました。何かわからないことや困ったことがあるとすぐにスマホに頼ってしまう私ですが、自分の頭で考える、自分でなんとかする、そんな力をつけたいところです。


気になった方、ぜひ読んでみてください^^

 

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!