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森博嗣『少し変わった子あります』あらすじ・感想

こんにちは!

今回は、森博嗣さんの『少し変わった子あります』という作品をご紹介します。

 

作品概要
著者について

森 博嗣
1957年生まれで、小説家、同人作家、工学博士です。近年は、清涼院流水が立ち上げたプロジェクト「The BBB」(Breakthrough Bandwagon Books)に参加し、英語版の著作を発表しています。1996年『すべてがFになる』で小説家デビューをかざりました。小説のほかに、エッセィや趣味の本など、多方面で活躍されています。

 

本の概要


・ISBN-13:978-4167743024
・出版年:2006年初版、文庫2009年
・出版元:文藝春秋
・ジャンル:一般フィクション
・ページ数:文庫で230ページ

あらすじ


失踪した後輩が通っていたお店は、毎回訪れるたびに場所がかわり、違った女性が相伴してくれる、いっぷう変わったレストラン。都会の片隅で心地よい孤独に浸りながら、そこで出会った“少し変わった子”に私は惹かれていくのだが…。人気ミステリィ作家・森博嗣がおくる甘美な幻想。著者の新境地をひらいた一冊。

 

感想

 

こちらは、うつくしい装丁に惹かれて、一時帰国をしたときに読みました。

 

森さんの作品は以前どこかで読んだ、ような気がするのですが、もしかしたらこれがはじめてだったかもしれません。


毎回ちがう場所で、ちがう女性と一緒に食事をして、会話を楽しみ、その女性の分の料理代も払う。なんか一歩間違えればちょっと怪しい感じなのかなあと思いましたが、それをうつくしく淋しい物語に昇華しているのが、さすがだなあと。食事をする女性とは1度しか会うことができず(連絡先を聞く、なんて野暮なことはいけない)、次にまた店を訪れたときには別の女性が登場する。

 

たぶんはじめは、みんな(男性たち、と言っていいのかな)冷静なんだと思います。どこか途中でやめられるか、気づかずに進んでしまうか。幻想的なものがたりのようで、どこかひそやかな現実味もあります。

 

女性たちとの会話はおだやかで、そんな会話の数々を経て、衝撃的なラストに向かっていきます。思わず「え」と声が出そうになるほど衝撃的でびっくりしました。男女の話、という安っぽいジャンルにわけられない、もっと深淵なところにある、コミュニケーションや孤独のものがたりなのかな、と。

 

そして、本筋からは離れますが、女性たちの話し方(とくに敬語がほんとうにきれい)や所作から自分を顧みたりもしました。小山先生とまったくおなじ気持ちを味わえたとは言えませんが、おそらく。

 

読後は、ここちよさ、とは言えないかもしれないけれど、妙な空気が心の中に漂っていました。食事、という、ある意味生きることと密接にむすびついている行為だからかもしれません。これが例えばなにか現実的でないもの、生きることと遠いものであったならば、またちがった印象があり、ファンタジーチックになるのかもしれません。

 

静かな夜に、あたたかなお茶をおともに、読みたい一冊です。

 

一言キャッチフレーズ

孤独の一歩先を見つめる


5段階評価(おすすめ度)


※あくまで私の主観によるものですので、参考程度にお考えください。


★★★★☆(4/5)

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!