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Sam Carrington “I Dare You” あらすじ・感想

こんにちは!

今回は、Sam Carringtonさんの “I Dare You”という作品をご紹介します。

 

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作品概要
著者について

サム・カリントン:
夫、2匹のボーダーテリア、1匹の猫と一緒にデヴォン州に住んでいます。彼女には3人の子どもと孫がいます。NHSに15年間勤務し、その間に看護師の資格を取得しました。その後、心理学の学位を取得し、犯罪行動プログラムのファシリテーターとして刑務所に勤務していました。この分野での経験が、彼女が執筆活動を始めるきっかけとなりました。家族との時間を大切にするため、そして小説家になるという夢を追うために、彼女は刑務所を退職しました。

 

本の概要


・ASIN:B07RWSL54Y
・出版年:2019年
・出版元:Avon
・ジャンル:心理スリラー、サスペンス、一般フィクション、ミステリ
・ページ数:412ページ(kindle版)
・英語の難易度、特徴:地の文よりは会話が多めですが、それほど難解な表現はありませんでした。
・テーマ、キーワード:小さな村のコミュニティ、冤罪、うそ、秘密、被害者、加害者、赦し

 

あらすじ

イノセントなゲーム。衝撃的な犯罪。秘密に満ちたコミュニティ。

メープルドン、1989年。
二人の少女が、あえてあぶないゲームをしに出かけた。そして、一人だけ家に戻ってきた。
村の一匹狼、ビル・"クリーピー"・コーリーがアンナの友人をトラックに引きずり込み、姿を消したのだ。
遺体は発見されなかったが、彼女の証言によってコーリーは殺人罪で刑務所に送られた。完結した事件で、正しい人物が刑務所に入ったのだ。
村は再び安心して眠れるようになった。

しかし……。
アンナはメープルドンとその悪夢から離れたと思っていたが、取り乱した電話で過去と向き合うことになった。
30年前、誰かが嘘をついた。30年前、有罪判決を受けた男は、罪を犯した者ではなかったのだ。
今、彼は刑務所から出てきて、復讐をしようとしている。問題は、彼が誰から始めるかということだ。

 

感想

サム・カリントンさんの作品は今回初めて読みましたが、決して最後の作品にはならないと思いました。ほかにも数冊あるようなので、ぜひ読んでみたいと思います。

 

物語は短い章にわかれています(とても読みやすいです)が、章の終わり方が秀逸で、もっともっと、と次のページをめくりたくなりました。なにかの答えを見つけたと思うたびに、別の、もしくは再び謎が浮かび上がってきました。物語の予測がつかず、驚きに満ち、紆余曲折を経て、この本はすばらしいサスペンスであることを最後に証明してくれました。100以上の章で構成されているため、ペースが速く、読んでいる間、テンションが下がる/緊張が切れてしまうことはありませんでした。素晴らしいミステリーです。

 

物語は、現代と30年前に分かれています。リジーとアンナの視点(現代)と、1989年の三人称の語り口があります。しかし、単に時系列を追って描くのではなく、さかのぼっていく方法が取られていた点です。衝撃的な犯罪に至るまでの出来事を報告するのではなく、どんどん過去につながっていきます。これが見事に他の作品とちがう点で、物語の全体的な楽しさを高めていました。この描き方はとてもユニークでした。これは同時に、私たちが主人公と同じように事件の真相を突き止めることを意味します。

 

主人公たちはほとんどが女性で、これはMapledonという静かな村における女性の優位性を反映しています。この小さな村では、誰もがお互いの仕事を知っているため、ニュースがすぐに伝わる様子が容易に想像できました。しかし、これが子どもの失踪や事件の真相と重なって、恐ろしいことになっています。

 

物語がはじまってそれほど経たないうちに、犯人と思われていた人が無実であることはわかるのですが、彼とその娘もどこか怪しい雰囲気は漂っており、最後まで本当に展開が読めませんでした。隠れたテーマは「赦し」でもあるのかなと。

 

私はこの物語が大好きでした。謎とサスペンスがスリリングで、最後の真実が予想できませんでした。

 

一言キャッチフレーズ

30年の時を経て、村の秘密が暴かれる


5段階評価(おすすめ度)


※あくまで私の主観によるものですので、参考程度にお考えください。


★★★★★(5/5)


最後までお読みいただき、ありがとうございました!