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Lisa Jewell(リサ・ジュエル) "Watching You" あらすじ・感想

こんにちは!

今回は、Lisa Jewell(リサ・ジュエル)さんの "Watching You" という作品をご紹介します。

 

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作品概要
著者について

リサ・ジュエル:

1968年イギリス・ロンドンに生まれました。人気のフィクション作家としての地位を築いています。学校でアートやファッションなどを学んだあと、数年間はファッション業界で働いていました。彼女の小説家としてのデビューにまつわる話はおもしろく、リサは友人からお気に入りのレストランでのディナーと引き換えに3章の小説を書くという課題を受けたそうです。その3つの章が最終的に彼女のデビュー作「Ralph's Party」に発展し、1999年にイギリスでベストセラーとなったそうです。ほかの作家とは一味違ったデビューの道を歩まれたのですね。2008年には、小説『31 Dream Street』でメリッサ・ネイサン賞コメディ・ロマンス賞を受賞しています。現在は夫と二人の娘といっしょにロンドンにお住まいです。

 

本の概要


・ISBN:9781501190070
・出版年:2018年
・出版元:Atria Books
・ジャンル:心理スリラー
・ページ数:320ページ(ハードカバー)
・英語の難易度、特徴:会話文が多いので読みやすかったです。
・テーマ、キーワード:家庭生活フィクション、一般フィクション、スリラー、心理スリラー
・おすすめする人:スリルを味わいたい方。人間の怖さ、深さを味わいたい方。

 

あらすじ

メルヴィルハイツは、イギリスのブリストルでも最も素敵な地区のひとつで、医者や弁護士、学者たちが住んでいる。家のキッチンで人が無残に殺されるような場所ではない。しかし、一方で誰もが秘密を持っているような場所でもあるのだ。そして、みんなが誰かを見ている。

地元の学校を立て直した校長として、トム・フィッツウィリアムは誰からも愛されているが、その中でも新しい隣人のジョーイ・ミューレンは、この魅力的だが手に入らない男にすぐに強い恋心を抱く。しかし、トムの10代の息子フレディは、MI5のスパイになることを目指している天才で、人間観察が得意な男の子だった。

トムの生徒であるジェナ・トリップも同じ通りに住んでいるが、彼女はトムが見た目ほどクリーンではないと確信している。また、ジェナの母親は、近年、精神状態が悪化しており、フィッツウィリアム氏がストーカー行為をしていると確信しているという。

一方、20年前、ある女子学生が日記に綴っていたのは、若くてハンサムな英語教師、ミスター・フィッツウィリアムへの運命的な執着だった...。

 

感想

最初の1ページめから最後まで、物語のなかにずっと引き込まれてしまいました!すっかり夢中になってしまい、自分としてはかなり速く読み終えてしまいました。リサ・ジュエルさんの作品を読むのはこれで3作目ですが、本ごとに見事にスタイルを変えているな、と感じます。

 

この作品は、とにかく終始緊張感が溢れており、私の頭を刺激し、読んでいる最中に身の毛がよだつような思いをすることもしばしばありました。

 

Watching Youというタイトルも本当に秀逸で、あらゆる登場人物が誰かを見ている・誰かに見られていると感じていて、さらに物語の大きなカギともなっています。

 

JoeyがTomに惹かれてしまう気持ちは、彼女の状況を考えると理解できなくもないなと感じます。生徒たちも然り。誰かや何かにとりつかれてしまったようにこだわるのは、良い結果をもたらさない、と頭ではわかっているけれど、抗えない。そんな人間の弱さも垣間見えました。

 

伏線がいたるところにちりばめられているため、若干結末は予想できてしまいましたが、それでも十分楽しめました。私は、特に途中途中に挟まれていた警察の事情聴取のシーンがスパイスとなっていて、お気に入りです。

 

 

一言キャッチフレーズ

見ていたのは、わたしだけではなかった


5段階評価(おすすめ度)


※あくまで私の主観によるものですので、参考程度にお考えください。


★★★★★(4/5)


最後までお読みいただき、ありがとうございました!