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Peter James(ピーター・ジェイムズ) “Dead Man’s Footsteps” あらすじ・感想

こんにちは!

今回は、Peter James(ピーター・ジェイムズ)さんの “Dead Man’s Footsteps”という作品をご紹介します。

 

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★著者について

1949年、イギリスのブライトンに生まれました。作家としてだけでなく、脚本家や映画プロデューサーとしても活躍しています。代表シリーズ、警視グレイスシリーズは世界で200万部のベストセラーとなり、26か国語に翻訳されています。

 

★本の概要


・出版年:初版2008年5月
・出版元:パンマクミラン
・ジャンル:警察小説
・ページ数:592(ペーパーバック)
・シリーズ:Roy Grace #4


★あらすじ


9.11の朝、悲劇的な騒動が繰り広げられる中、ブライトンのビジネスマンであり、何もかもが失敗に終わり、絶望の淵に立たされていたロニー・ウィルソンは起死回生のアイデアを思いつく。6年後、ブライトンの排水溝で一人の女性の遺体が発見されたことをきっかけに、ロイ・グレース警視と彼のチームは、イギリス・アメリカ・オーストラリアと世界を股にかけた調査に乗り出す。ブライトンの通りや路地で小動物のように追い詰められているもう一人の女性の命を救うために、時間との戦いに挑む。


★感想


ロイグレースシリーズの第4作目のこちらも、スリリングな展開が楽しめる素敵な作品でした。とある女性がエレベーターの中に閉じ込められるシーンや、2001年のアメリカ同時多発テロ(9.11)を危機一髪で生き延びた男と、彼の帰りを待つ妻、そしてグレースたちが排水溝で見つけた女性の遺体……。初めはこれら3つがどのようにつながっていくのだろう?と不思議に思っていたのですが、中盤、グレースと彼のチームが世界中へ散っていき、それぞれの場所で得た情報を組み合わせていくと、とんでもない事件であることがわかる。その部分がとても面白かったです。


具体的には、以下のセクションで書きますが、まさかこれがこういう風に一つにつながっていくんだと、びっくりしました。グレースシリーズの魅力の一つが、現代の社会問題をリアルに描いている部分だと思うのですが、今作は特にその面白さを感じました。


大きく分けて3つが物語の核となるのですが、グレースたち警察の描写はシリーズの他の作品と比べるとやや少なめです。グレースたちが追い詰めていく、というよりは、事件自体の構想や面白さを味わう作品かなと思いました。全体としても、伏線はほとんど回収されていたように感じますので、モヤモヤはあまり残りませんでした。

 

 

 


***以下、作品の内容に触れています。未読の方はご注意ください******


作品は飽きずに最後まで読めたのですが、中でも面白いなあと思ったのは、以下3つです。


まず、切手を使ったマネーロンダリングが事件のカギだということ。切手収集ってとても素敵な趣味だと思うのですが、こういう事件って、日本でも起きていたりするのでしょうか?作中では、オーストラリアではイギリスよりよくあること、と述べられていましたが……。


もうひとつは、アビーのキャラクターです。最初は何でこんなに人目を避けてびくびくしているんだろう、と思ったのですが、母を守ろうとする強さと行動力(この行動力はDaveに上手く利用されてしまったんだと思いますが…)は読んでいてすごいなあと。


そして何より、ロニーの計画です。悪事なんですが、よくこんなこと思いつきますよね。9.11のことは子どものときに見た映像が衝撃的だったのは覚えているのですが、当時の状況などをあまり詳しく調べたことなどはなく、身元確認とか、補償とか、もっと知りたいなあと思いました。ロニーが妻に、船で自殺したと見せかけて違う人になりかわる、というのはすごいアイデアだなと。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!