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【デュパンからホームズ・ポアロまで】海外(英米)の探偵小説・推理小説の歴史をわかりやすく解説!

こんにちは!

今回は、海外(特に英米)の探偵小説・推理小説の歴史を簡潔にご紹介します!現代でも小説の中で最も人気のあるジャンルの一つである探偵小説が、どんなふうに歴史をたどってきたのでしょうか?

 

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探偵小説とは?

探偵小説とは、プロやアマチュアの探偵が、主に殺人などの犯罪または一連の犯罪を解決するフィクションのジャンルです。英語ではDetective fictionやDetective storyと呼ばれることが多いです。過去から現在に至るまで、小説のなかで最も人気の高いジャンルの一つです。

 

探偵物語は基本的に論理に基づき、超自然的な要素が登場することは稀です。ここでいう探偵には、私立探偵、警察官、高齢の未亡人、好奇心旺盛な若者など様々です。

 

探偵小説、推理小説は、警察小説やスリラーなどの犯罪関連のジャンルとは異なり、一般的に殺人の恐ろしい詳細よりも、未解決の殺人事件の「謎」に焦点を当てています。実際、ほとんどの「古典的」ミステリーは、被害者が頭を打たれたり、毒を盛られたり、刺されたりするなどの方法で一撃で殺され、ほとんど苦しみを伴わない(もしくはその描写のない)「きれいな」殺人事件のカテゴリーに入ると言われています。

 

探偵小説が生まれた背景

探偵小説が生まれるきっかけになったのは、19世紀、産業革命で工業製品の生産が盛んになり、都市に多くの人が移り住むようになったことで、日常的に犯罪が増えたことだと言われています。ロンドンに警察ができたのは1829年、ニューヨークに警察ができたのは1845年と、警察組織が設立されたのも同時期でした。

 

最初の探偵小説・推理小説は?

長い歴史を持つ探偵小説のなかで、最初のものはなにか?というのは「これ」と一つに決めることは難しいです。エドガー・アラン・ポーの『モルグ街の殺人』(1841年発表の短編小説)だという説もあります(探偵という新しいキャラクターを登場させた最初の作品とされていますが、この時期英語では "detective "という言葉すら使われていなかったとも言われています)。

 

また、イギリスの作家ウィルキー・コリンズの『月長石』という説もあります。チャールズ・ディケンズの雑誌『All the Year Round』に初めて連載され、1868年には完全な小説として発表されました。この小説の特筆すべき点は、探偵が登場するだけでなく、探偵小説・推理小説の古典的な手法を確立したことです。作中に登場するカフ軍曹は、ロンドン警視庁の初代刑事の一人であるジョナサン・ホワイザー警部をモデルにしています。

 

それ以外にも、E. T. A. ホフマンの「スクデリの恋人」、ウィリアム・エバンス・バートンの「秘密の部屋」、『ノッティング・ヒルの謎』(ペンネームで書かれたため、真の作者は不明)などを挙げる説もあります。

 おすすめ作品:エドガー・アラン・ポー『モルグ街の殺人』

ウィルキー・コリンズの『月長石』

 

シャーロックホームズの登場

古くから様々な探偵小説が出版されていましたが、架空の探偵として最も有名な人物の一人が、シャーロックホームズではないでしょうか。作者、アーサー・コナン・ドイルは、探偵小説を大衆文学のジャンルとして確立しました。また、彼は作品数も多く、56の短編と4つの小説を残しています。また、ドイルは、ワトソン博士という、ホームズを補佐する相棒的なキャラクターを登場させたことも画期的でした。なお、ホームズはジョセフ・ベル博士という実在の外科医がモデルになっています。

おすすめ作品:

「緋色の研究」(1887年)

「バスカヴィル家の犬」(1901年)

「恐怖の谷」(1914年)

 

黄金時代の到来

1920年代から1930年代にかけては、「ミステリーの黄金時代」と呼ばれます。アガサ・クリスティ、ドロシー・セイヤーズ、ジョセフィン・テイなど、現代でも人気があり、大きな影響力を与えている作家がこの時期に活躍しました。彼らが小説の舞台とした荘園、客船、遺跡などの設定は、今でも読者を魅了し続けています。

 

なかでもアガサ・クリスティは「ミステリの女王」と呼ばれ、最も人気のある推理小説家の一人です。彼女は、生涯に66冊の探偵小説と14冊の短編小説集を書きました。彼女が生み出したエルキュール・ポワロとミス・マープルという2人の探偵は、後世の作家にも大きな影響を与えました。彼女の『そして誰もいなくなった』という小説は今でもベストセラーのひとつです。

おすすめ作品:『そして誰もいなくなった』

 

『オリエント急行の殺人』

 

『ナイルに死す』

 

『ひらいたトランプ』

 

ハードボイルド探偵の広がり

ハードボイルド探偵小説は、1920年代にはすでに登場していましたが、特に1930年代から1950年代にかけてアメリカで広がりを見せました。その背景には、従来の謎解き型の探偵小説は非現実的だとし、より現実に即したようなリアルな物語が求められていたことがありました。

 

ハードボイルド探偵小説からは、ダシール・ハメットのサム・スペード、レイモンド・チャンドラーのフィリップ・マーロウといった、タフで一匹狼という人物が登場しました。

おすすめ作品:レイモンド・チャンドラー『大いなる眠り』

 

 

探偵小説・推理小説の種類(サブジャンル)

探偵小説・推理小説にはいくつかサブジャンルがあります。以下にその例をご紹介します。

 

・コージー:ほとんどの場合、小さな町や村を舞台にした穏やかな探偵物語です。探偵はアマチュアの探偵で、たいていは女性です。

 

 

・ハードボイルド探偵小説:前述の通り、特に1930年代に人気を博したジャンルです。ダシール・ハメット(Dashiell Hammett)は、サム・スペード(Sam Spade)のようなタフで強い「私立探偵」を生み出しました。

おすすめ作品:ダシール・ハメット『ガラスの鍵』

 

 

 

以上です!少しでもこの記事が、みなさんが探偵小説をさらに楽しむきっかけになれば幸いです^^

 

参考URL:

A Short History of Detective Fiction

Novel Investigations: A Brief History of Detective Fiction

The creation of the police and the rise of detective fiction

A Brief History of the Detective Story for Writers

 

Literary Origins: Sherlock Holmes and the History of Detective Fiction

Detective fiction Wikipedia