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夏目漱石『草枕』あらすじ・レビュー

こんにちは!イギリス在住読書ブロガーのゆず(@ybook21)です!

今回は、夏目漱石『草枕』という作品をご紹介します。


作品概要
著者について

夏目漱石
1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)生まれ。帝国大学英文科卒。松山中学、五高などで英語を教え、英国留学も経験。留学中は極度の神経症に悩まされたといわれている。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表し大評判となえり、翌年には『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表する。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、数々の傑作を残した。

 

本の概要


・初出:『新小説』1906年9月
・ジャンル:古典文学



あらすじ

智に働けば角(かど)が立つ。情に棹(さお)させば流される。
意地を通せば窮屈だ。兎角(とかく)に人の世は住みにくい――。
かの有名な文言から始まる、絢爛たる文章で綴る漱石初期の名作。

 

感想

「山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。」
有名な冒頭文ですが、美しい文章はここから流れるように続き、読者である私はその流れに心地よく身を任せながら読んでいきました。イギリスにもゆかりのある夏目漱石。東大出身ということもあり、その思想の広がりはすごいものがありました。

 

美しい女性が登場しますが、彼女の描き方は漱石の女性に対する見方のようでもありました。このころの小説というとどうしても女性への差別的な目線があることがままあり、それが私は苦手なのですが、この作品はそうでもなく、やはり芸術家の目を通しているのだという感覚になりました。

 

物語の流れや、戦争が言及されている部分など、興味深い点はいくつもあるのですが、やはり私は漱石の文体と、彼の考えに耽美性を感じてしまいます。物語の最後の方で汽車が出てくるのですが、そこで主人公は「人々は汽車に乗るというが私は積み込まれると思う。人々は汽車で行くというが私は運搬されると思う」(正確な引用ではありません。ごめんなさい)みたいな表現があり、それはまさに私が数年前に満員電車に毎日揺られていた時に感じていたことと同じで、共感ばかりでした。

何度も言って恐縮ですが、文が本当に美しくて聡明。声に出して読みたいし、どなたか素敵な声の方の朗読を聞くのもいいかも。

 

5段階評価(おすすめ度)


※あくまで私の主観によるものですので、参考程度にお考えください。


★★★★★(5/5)


最後までお読みいただき、ありがとうございました!