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吉川英治『剣難女難』あらすじ・感想

こんにちは!

今回は、吉川英治さんの『剣難女難』という作品をご紹介します。

 

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作品概要
著者について

吉川英治:

1892年、現在の横浜市中区に生まれました。様々な職業についたのち、作家活動に入りました。歴史小説、時代小説を得意とし、1935年から連載が始まった『宮本武蔵』は多くの読者を魅了し、大衆小説の代表的な作品となりました。敗戦後は、そのショックからなかなか筆をとれずにいましたが、親友の菊池寛からの求めで再度作品をかけるようになり、『高山右近』『大岡越前』で本格的に復活をとげました。1962年、肺がんのため亡くなりました。

 

本の概要


・ASIN : B009GAIGS8
・出版年:1926年(初版)、1990年(講談社版)
・出版元:大日本雄辯會講談社(初版)、講談社(Kindle版)
・ジャンル:歴史小説、時代小説
・ページ数:540ページ(Kindle版)
・テーマ、キーワード:大正時代、剣術、兄弟の絆、旅、誓い
・おすすめする人:吉川英治の初期の作品を読みたい方、剣での戦いに興味がある方

 

あらすじ

大正14年に創刊された国民雑誌「キング」に発表されたこの作品で、従来の幾つかの筆名に別れを告げ、新たに吉川英治が誕生した。――美男で剣を見るのさえ身体がふるえる春日新九郎が、兄の仇、富田三家随一の名人、鐘巻自斎を相手に戦うまでの数々の辛苦と、剣難女難。――この一作が呼んだ反響、つづいて生まれた幾多の名作。本書は、吉川文学の輝かしい原点といえよう。

 

感想

今までも吉川英治さんの作品はいくつか読んできました。長編も短編も、どれも味があって好きなのですが、この作品は素直に「かっこいいなあ!」と思いました。吉川英治さんの初期の作品とのことで、円熟期の作品とはまた一味違った初々しさも感じました。それが、妙に主人公の新九郎が曲がりなりにも前に進んでいく様子と重なりもしました。

 

大正14年創刊の国民大衆紙「キング」に掲載されていたというこの作品は、確かに現代から考えれば古臭さも感じさせます。しかし、それも時代を知るという意味では非常に大きな意義があるのではないかと思います。いつの時代も、自分の生きる道、異性との関係は一筋縄ではいきませんよね。

 

そして、特に私がこの作品で好きだったところは、各章につけられているタイトルです。七五調というか、思わず口に出して言いたくなるようなかっこいいタイトルがつけられていました。刹那的でもあり、普遍的でもある。そのまま作品のタイトルになりそうなものもたくさんありました。

 

 

一言キャッチフレーズ

いばらの道の先に見えるもの


5段階評価(おすすめ度)


※あくまで私の主観によるものですので、参考程度にお考えください。


★★★★☆(4/5)


最後までお読みいただき、ありがとうございました!